このブログを検索

2014年6月14日土曜日

米国テキサス州アタスコサ郡で落雷によるタンク火災

 今回は、2014年5月26日、米国テキサス州アタスコサ郡プレザントンにある油井用のタンク施設において落雷を受けてタンクが火災を起こした事例を紹介します。
      テキサス州アタスコサ郡で火災のあったタンク施設 (写真はKsat.com から引用
 <事故の状況> 
■  2014年5月26日(月)朝早く、米国テキサス州にあるタンク施設で落雷による火災があった。事故があったのは、テキサス州アタスコサ郡(Atascosa County)プレザントン(Pleasanton)にある油井用のタンク施設で、落雷を受けてタンクが火災を起こした。
       テキサス州アタスコサ郡プレザントン付近の風景   (写真はグーグルマップから引用)
■ 526日午前4時頃、ボランティア型のプレザントン消防署とジョルダントン消防署はウィリアムズ通り近くのカウランの発災現場へ出動した。

■ プレザントン消防署のチャック・ギャリス署長によると、昨夜から襲来していた嵐による雷が数基あったタンクの1基に落ち、引火して火災になったという。ギャリス署長によると、タンク施設は2つの区域に分かれ、ひとつは塩水排出タンク群で、もう一方は油タンク群だという。

■ ハイウェイ281号線から少し離れた地方の貯蔵タンクの現場にいたひとりの作業員は、発災後、トラックへ走り、火災の難を逃れるために急いで脱出した。この作業員にケガは無かった。

■ 火災は4基のタンクへ燃え広がり、貯蔵されていた数百バレル(およそ80KL程度)の原油が焼失した。このほか、塩水排出タンク17基にも延焼した。

■ ギャリス署長は、近くのアタスコサ川に危険性物質が流入しないように火災に伴って流れ出る液の監視を州の担当者が行っていると語った。また、州の担当者は大気の汚染状況もモニタリングしている。州担当者によると、周辺地区に差し迫った脅威はないとみられるという。

■ 消防隊は、数時間はかかるが、燃え尽きさせる方法に期待していた。しかし、正午頃、70マイル/時(31m/s)の激しいダウンバーストが現場を襲ったとき、火炎の勢いが増した。ギャリス署長は、「燃え尽きさせるよりも火災を消してしまう方が危険が大きいと判断しました」と語った。燃え跡にはホットスポットがいくつか見られたが、その後、残り火は再燃することもなく消失したと、ギャリス署長は付け加えた。

■ 施設のうち塩水排出タンクの所有者はベロー・ワイリー氏で、油タンクの所有者はロン・リッカウェイ氏である。
                火災のあったタンク施設   (写真はKsat.com から引用)
                    炎上するタンク施設    (写真はNews4sanantonio.comから引用)
補 足                                                         
■ 「テキサス州」は米国南部にあり、メキシコと国境を接している州で、人口は約2,510万人と全米第2位である。テキサス州には254の郡があり、米国50州中で最も数が多い。
 「アタスコサ郡」(Atascosa County)は、テキサス州中南部に位置し、人口約45,000人で郡庁所在地はジョーダントン市(人口約3,800人)である。同郡で最大の都市はプレザントン(人口約9,000人)である。郡名はアタスコサ川にちなんで名付けられた。
 2014年5月9日、米国テキサス州カーンズ郡にある石油タンク施設が落雷を受けてタンクが爆発・火災を起こした事例があるが、カーンズ郡とアタスコサ郡は隣接している。
テキサス州アタスコサ郡
■ 油タンクの所有者はロン・リッカウェイ氏で、塩水排出タンクの所有者はベロー・ワイリー氏と報じられている。油井は天然ガス井で、生産された油(天然ガス)の所有者がロン・リッカウェイ氏で、油井の掘削作業や塩水処理に関わる工事を別会社に委託しているものと思われる。ベロー・ワイリー氏は、以前、 トロージャン・バキューム・サービス社(Trojan Vacuum Services)にいた関係で塩水排出タンクを保有しているものと思われる。なお、塩水処理施設は、天然ガス井の生産で付随してきた塩水を(タンクローリー車などで)集積して、油水分離し、水(塩水)はポンプで地下に戻すプロセスである。タンクは鋼製もあるが、大半はFRP製である。
 発災施設のグーグルマップによる写真では、油タンクらしいタンク3基と、塩水処理施設のタンク群22基が見える。火災になった油タンクが4基になっているので、増設されたものか、あるいは塩水処理施設中の油タンクを入れたものと思われる。塩水排出タンクの被災数が17基と多いのは、材質がFRP製のため、熱に弱いためであろう。なお、油タンクはグーグルマップから推定すると直径約3.5mで、高さを6mと仮定すると、容量は50KL級と思われる。焼失原油は数百バレル(およそ80KL程度)と報じられているが、タンク容量から考えれば、もう少し多いかもしれない。
                 テキサス州アタスコサ郡のタンク施設  (写真はグーグルマップから引用)
所 感
■ 今回の事故は、 201459日、同じテキサス州で隣州のカーンズ郡にある石油タンク施設が落雷を受けた事例「米国テキサス州カーンズ郡で落雷によるタンク爆発・火災」とよく似ている。落雷の多い州でであり、この種の落雷によるタンク火災は多くなる傾向だといえる。
■ 2013年11月7日のメサ・オイル・サービス社が所有する油井関連施設の塩水処理装置で13基のタンクが被災した 「米国ノースダコタ州の石油施設で爆発、タンク13基が被災」事例を紹介した際、所感で「最近、米国では、油井関連施設のタンク事故が目立つ。今回も天然ガス井の塩水処理施設におけるタンク爆発・火災事故である。これまでは油・ガス井に付帯する貯蔵タンクの事故で、運転管理に問題があると思っていたが、今回は塩水処理を専門とする会社における事故であり、問題は根深いように思う。米国内で課題化されるのではないだろうか。対応策がとられなければ、事故が再発するのは必至だと感じる」と述べた。今回は塩水処理施設の運転管理上の問題ではなかったが、天然ガス井施設が雷に弱いという弱点をつかれた事例といえる。米国では、小規模な天然ガス井が増えていると思われ、落雷によるタンク火災は増えていくと感じる。

■ 油井関連施設のタンク火災は燃え尽きさせる戦略をとることが多い。消防資機材や消火用水の供給を考えると、燃え尽きさせるしかないと思われる。また、発災から短時間で周囲に延焼しており、周囲に何もない状況から、無理に消火させる必要はないと判断したと思われる。ただし、タンク火災に伴って出る排液や燃焼ガスについて監視やモニタリングが行われており、環境汚染への考慮は行われている。

備 考
  本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
   ・News4sanantonio.com,  Crews to let Storage Tank Fire Burn Itself out,  May 26 , 2014
   ・Foxsanantonio.com, Oil Storage Tank Fire South of Pleasanton,  May 26 , 2014  
   ・PreasantonExpress.com, Oil Tank Batteries Engulfed in Earlymorning Fire,  May 28 2014



後 記: テキサスの地方の消防署は大変だと思います。ほとんどはボランティア型の消防署であり、今回の事例では、午前4時(多分、嵐の中)に出動して落雷によるタンク火災に対応しなければならないのですから。西部の開拓精神がなければ、やっていけないと思いますね。
 ところで話は変わり、地元周南市の周陽中学校の生徒が陸上100mで中学新記録(10秒56)を出したニュースがテレビや新聞で取り上げられました。写真のように周南市長への報告が記事になっていますが、この中で「坂道ダッシュ効果」と話しています。この坂道は私の家からすぐ近くにあり、周南緑地への道路で、車が通れないようになっています。高校生や中学生がこの坂を使ってダッシュの練習をよくやっていましたが、この坂道での練習から日本一の中学生が生まれるとは思ってもいませんでした。
(記事は朝日新聞から引用)                              
 

0 件のコメント:

コメントを投稿