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2014年11月19日水曜日

カナダのシェル製油所の原油タンク地区で火災

 今回は、2014年11月11日、カナダのオンタリオ州サーニアにあるシェル・カナダ社のサーニア・マニュファクチャリング・センターで、原油タンク地区において火災が発生した事故を紹介します。
 <事故の状況> 
■  2014年11月11日(火)午前11時頃、カナダのオンタリオ州にあるシェル社製油所の石油貯蔵タンク地区で火災事故があった。事故があったのは、オンタリオ州サーニア市コルーニャにあるシェル・カナダ社(Shell Canada Ltd)のサーニア・マニュファクチャリング・センター(Sarnia Manufacturing Centre)で、原油タンク地区において火災が発生した。
              オンタリオ州サーミア市コルーニャ付近  (写真はグーグルマップから引用)
■ シェル・カナダ社広報担当によると、製油所タンク地区の南東隅にある原油タンクで11日午前11時少し前に火災が発生したという。タンクは使用状態でなく、従ってタンク内液は燃えていないという。火災はタンクにおける作業に関連したもので、タンクは運転再開に入ったという。発災後、構内の消防隊によって消火活動が行われた。「消防隊による迅速な対応によって、火災は消えました」と広報担当は語った。セントクレア・タウンシップ消防署へは予防措置として通報され、消防隊が確認のため出動した。「セントクレア・タウンシップ消防署の消防隊は待機していました」と広報担当は語った。

■ 広報担当によると、発災に伴うケガ人は出ておらず、火災の原因は調査中だという。広報担当は、「私どもは境界柵の内外においてモニタリングを実施しましたが、数値的に変化がありませんでした」と語り、事故に伴う環境への影響の兆候が無いことを会社として確認したと付け加えた。

補 足           
■  「カナダ」は、北アメリカの北部に位置し、10の州と3つの準州からなる連邦立憲君主国家で、英連邦加盟国である。人口は約3,400万人で、首都はオンタリオ州のオタワである。
 「オンタリオ州」は、カナダの中東部に位置し、人口約1,360万人とカナダ全人口の約3分の1がこの州に集まっており、カナダの政治経済の中心となっている。州都はカナダ最大の都市トロントで、連邦政府の首都オタワもオンタリオ州にある。
 「サーニア」は、オンタリオ州南西部にあり、人口約71,000人の都市である。五大湖の水系にあたるセント・クレア川に面し、対岸は米国領となる。「コルーニャ」は、サーニア市街地から南約10kmに位置する町である。

■ 「シェル・カナダ社」(Shell Canada Ltd)は、多国籍石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社で、カナダを本拠地として活動している。
 「サーニア・マニュファクチャリング・センター」(Sarnia Manufacturing Centre) はシェル・コルーニャ製油所ともいわれており、1952年にカナディアン・オイル社(Canadian Oil Companies Ltd)として設立された製油所である。1963年にシェル社に買収され、シェル・カナダ社となった。現在、従業員350名、精製能力75,000バレル/日で操業している。
             シェル・カナダ社サーニア・マニュファクチャリング・センター   (写真はTheObserver.caから引用)
■ 発災場所は「製油所タンク地区の南東隅にある原油タンク」となっており、グーグルマップによると、直径約54mの浮き屋根式タンクと思われる。直径から推測すると、40,000KL級の貯蔵タンクとみられる。
                    シェル・カナダ社コルーニャ製油所のタンク地区   (写真はグーグルマップから引用)
所 感 
■ 報道記事の見出しを見ると、タンク火災の印象を持つが、タンク本体の火災ではないようである。火災時の状況がはっきりしないが、タンクの開放検査が終了して、運転のための準備作業が行われていたときの火災事故ではないかと思われる。
 製油所は1952年に操業を開始し、62年間の経験を有しており、またオペレーターの世代交代時期もかなり以前に終わっているとみられるので、技術不足というより危険予知不足による運転作業ミスあるいは工事片付け作業ミスから火災事故に至ったものではないだろうか。

備 考
 本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・TheObserver.ca, Incident under Investigation, November 11 , 2014
  ・UK.Finance.yahoo.com,  Crude Tank Fire at Shell Sarnia Manufacturing Center under Control - Shell, November 11,  2014
  ・FirstEnercastFinancial.com, Royal Dutch Shell Oil-Tank Fire under Control, November 11 , 2014   
  ・BlackBurnNews.com, Shell Tank Farm Fire, November 11 , 2014


後 記: 今回の事故情報はほとんどがシェル・カナダ社の広報担当から発信されたものでした。この情報源の広報担当には二人いて、記事によって若干異なる内容になっており、解釈に悩みました。通常、ブログでは、海外メディアと同様、広報担当者の名前を掲載するのですが、今回はわずらわしくなるので、単に「広報担当」と記載しました。広報担当が違った意見を出したというより、リポーターがタンク操業に詳しくないためかもわかりません。公設消防が構内に入っていますが、火災が消えたあとですので、火災状況についてコメントはできないでしょう。火災時の写真もなく、ぼや程度で典型的なローカルニュース的な事故情報ですが、ブログで紹介することとしてまとめました。

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